読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

平成世代の芸術家のリアリティ。

いわゆる《芸術家》とは、美術作品を作ってそれを売り、生計を立てる人のことをさすのが一般的だ。

しかし、学生時代のわたしにとっては、その芸術家的活動そのものにリアリティを感じられなかった。
そもそも、自分が売り手である以上、買い手の目線を意識しないで作品を作り続けることはできない。

『優れた審美眼を持った買い手』が日本にどれほどいるのか不明だが、わたしは在学中にそのような人に出会うことはなかった。

「仕方ない。ならば、自分が優れた審美眼を持った買い手となって、この日常の景色を変えてやろう。
そのためには、なによりも金が不可欠だ。金を稼ぐなら、日本の小さな現代美術のマーケットに依存するのは得策でない。
もっと裾野が広く、若者や女性(要するに自分)でも参入できる市場…。しばらくは、そこで勝負してみようじゃないか。」

そんなことをふと思い立ったのが学部を卒業する直前だった。そしてその時から、わたしは2年ほど美容業界で経験を積み、2015年に起業することとなる。


自分の内面に対するリアリティを追求するのはもちろんだが、それと同じくらい、社会に対するリアリティを追求しなければ影響力のあ芸術家になることは不可能だ。

日本の経済状態は悪化の一途をたどっている。従来の、ものを作ることに対して〝のみ〟熱心に取り組んでやっていける芸術家など、この21世紀にどれほど存在するというのだろうか?

わたしは今でこそ、自身の作品を発表することに重きを置いてはいないが、どこまでも自分は芸術家であると自負している。
理想とする芸術家像に最短距離で近付くために、わたしは従来の芸術家像をきっぱりと切り捨てる道を選んだ。

そしてその判断は正しかったと思う。美を専門とするサロンの経営者となり、美術品をコレクションし、人と金の流れを作り、サイト・スペシフィックな空間を作り続けている。

この空間と、この部屋を訪れるたくさんの人々こそ、わたしにとっての美術作品なのだ。


自分の客人に対してコレクションを見せたいのはもちろんだが、これからは、友人知人、SNSのフォロワーやブログの読者の方々にも、広くこの場所を紹介していきたいと思っている。
ゆっくりお茶をのみながら、色々な話がしたいんだ。

美容サロンとしの役目を超えて、より本質的な《美》と《生》を追求する、柔軟で深い価値のある空間としてこの場を機能させていくことが、今後の目標だ。