さよなら、夢の住人たち。

 

夜中にふと目が醒める。さっきまで見ていた夢の内容はよく覚えていないのに、なぜか、死んでしまった人たちのなんて事ない思い出だけが記憶に蘇っていた。

 

例えば、死んだわたしの父が使っていた財布は茶色の小さいものだった、とか。

 

死んだわたしの好きだった人は、夕飯に米2合くらい食べちゃう大食らいだった、とか。そんな些細な思い出たち。

 

 

今日は朝、目が覚めた瞬間からなんとなく嫌な予感しかしなかった。

体の隅々の細胞が下へ下へと落ちていってしまい、何もやる気が湧かず、何を見ても涙しか出てこない。

 

最近、わたしがしょっちゅう泣いているものだから、息子が慰めてくれるようになった。

 

保育園の先生にそう言われているのか?

 

『涙が出てるねえ、よしよし、もう泣かないでいいんだよ。』

 

と、繰り返し言って、抱きしめてくれる。

周りの人たちの優しさのおかげで、随分と優しい子供に育っているなと思う。感謝しなくちゃいけないなあ。

 

 

わたしの夢の中の世界と現実を結びつけてくれていた大切な人たちはもういないんだ。

 

本当は現実に存在していなかったのかもしれない。それくらい、みんな儚い存在だった。だから、もう会えなくても仕方ないのだろう。

 

たとえ生きていても、音信不通の友人が多い。きっとわたしはそんな、地に足がついていない人間が好きなんだ。

 

この冬に、もしかしたら5年ぶりに会えるかもしれない、と思っていた友人がいるのだが、残念ながらその可能性はないことが先日分かってしまった。

どうしても会いたいという想いだけが空中に浮いている。物理的には、その人に宛てた手紙がわたしのかばんの中で日に日にクタクタになっている。

 

 

さよなら、夢の住人たち。

さよなら、わたしの大好きなみんな。